年金/年金関連情報

「もしも・・・」の場合の年金は?(2ページ目)

日本の年金制度には、障害や死亡の保障もあります。国民年金や厚生年金の障害や遺族の年金とはどのようなものなのか、また、どのくらいもらえるのか、わかりやすく解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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遺族年金はどんな年金?


●誰がもらえる?

国民年金からの遺族基礎年金と厚生年金からの遺族厚生年金は、亡くなった人の遺族が受け取ります。そこで、支給の要件については、亡くなった本人だけでなく、年金を受け取る遺族に対しても定められています。

遺族基礎年金の場合、亡くなった本人は、死亡時に以下の1~3のいずれかに該当していたことが必要です。
  1. 国民年金の被保険者(厚生年金・共済年金を含む)である
  2. 60歳以上65歳未満で、日本国内に住んでいる
  3. 老齢基礎年金をもらっていたか、受給資格を満たしていた
遺族基礎年金をもらうことのできる遺族は、亡くなった人の妻と子(年収850万円未満の生計維持関係にあること)に限られていて、夫はもらうことができません。また、妻については18歳の年度末まで(高校卒業前)の子(障害のある子は20歳まで)がいることが要件となっています。

つまり、子がいない妻は遺族基礎年金を受給することはできません。また、子がいる妻で遺族基礎年金を受給することができたとしても、末子が18歳の年度末になると、遺族基礎年金は打ち切りとなってしまいます。

なお、妻が条件を満たせず受給しない場合で、子が受給する場合も18歳の年度末(障害のある子は20歳)までとなります。つまり、国民年金からの遺族基礎年金は、子供が小さい時、一定の期間だけ支給される年金ということになります。

一方、遺族厚生年金の場合は、死亡した本人の満たす要件は以下のうちのいずれかに該当することが必要です。
  1. 厚生年金保険の被保険者である
  2. 厚生年金保険の被保険者でなくなった後、被保険者である間にかかった病気やケガが原因で死亡し、かつ、その初診日から5年以内である
  3. 障害厚生年金(ただし、障害等級が2級以上)をもらっていた
  4. 老齢厚生年金をもらっていたか、受給資格を満たしていた
そして、遺族厚生年金をもらうことができる遺族の範囲は、遺族基礎年金に比べて広くなります。生計維持関係のあった(年収が850万円未満である)以下の遺族のうち、優先順位が上位の人に年金が支給されます。ただし、「配偶者と子ども」については、妻と子の場合は妻、夫と子の場合は子に対して支給されます。
【遺族厚生年金を受けることができる遺族とその条件】
順位 遺族 条 件
なし
死亡日に55歳以上であること
高校卒業前(18歳の3月末まで)
障害がある場合は20歳になるまで
父母 死亡日に55歳以上であること
高校卒業前(18歳の3月末まで)
障害がある場合は20歳になるまで
祖父母 死亡日に55歳以上であること
※夫、父母、祖父母の場合、年金の支給は60歳から(それまでは支給停止)

●いくらもらえる?

遺族基礎年金の額も、障害基礎年金と同様、保険料を納めた期間の長さは関係なく、定額となっています。

妻が年金を受け取る場合は
792,100円 227,900円×高校卒業前の子どもの数 (平成18年度額)
     
    ただし3人目以降は1人につき75,900円加算  

子どもが年金を受け取る場合は
792,100円(平成18年度額)
(子どもが2人以上いる場合は2人目の子どもに227,900円、3人目以降の子ども1人につき75,900円を加算)

遺族厚生年金の額は、死亡した人の死亡時における老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給額を計算し、その額の4分の3が支給されます。ただし、障害厚生年金と同様、死亡した被保険者等の加入期間が300月に満たない場合は300月とみなして年金額を計算する特例があります(老齢厚生年金をもらっていたか、受給資格を満たしていた場合を除く)。

なお、子のない妻に対しては、一定要件を満たすと40歳から65歳までの間、中高齢の寡婦加算(594,200円)が支給されることになっています。
 
【妻が受け取る遺族年金】

最後にもう1つ大切な要件が…(次ページへ)
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