暮らしの歳時記/日本のしきたり・マナー・ことば

Q.「初夏」と「立夏」の違いは何ですか? 初夏のあとに梅雨がくるのはなぜでしょうか…。

「初夏」と「立夏」はどう違うの? 初夏と梅雨はどっちが先?……日本にたくさんある季節にまつわることばの素朴な疑問にお答えします。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

「初夏」と「立夏」はどう違うの? 梅雨が先か、初夏が先か?

初夏と立夏の違いは何?

「初夏」と「立夏」の違いは何?

日本語には季節を表わすことばがたくさんあります。しかし、体感している季節感とは少しずれていて、実はよくわかっていないことばが意外にあるのではないでしょうか。今回は「初夏」「立夏」「梅雨」に関する疑問にお答えします。
 

Q. 「初夏」と「立夏」の違いは何ですか?

【質問】
5月になると「初夏」「立夏」ということばをよく聞きますが、この2つの言葉は何か違いがあるのでしょうか?
 
【回答】
よく「初夏ですね」「立夏を迎え夏になりました」といった言い回しを見聞きします。しかし、ことば自体に馴染んでいても、その違いは意外とわかりにくいものです。
 
「初夏」とは、夏の初めという意味のことばで、5月から6月はじめ頃にあたります。体感する夏の初めとして「初夏」を使うこともありますが、暦の上では「初夏」の期間が決まっていて、そこに「立夏」が絡んできます。
 
季節を語るうえでは、昔も今も季節の指標とされている二十四節気が欠かせません。「立夏」とは、二十四節気のひとつで、暦の上での夏の始まりです。
 
季節には、春・夏・秋・冬それぞれを三等分し「初○、仲○、晩○」という捉え方があります。夏の場合、「初夏」「仲夏」「晩夏」になります。
 
二十四節気では、ひとつの季節は六つの節気で成り立っているので、三等分した「初○、仲○、晩○」はそれぞれ二つの節気です。「初夏」の場合、「立夏」(5月5日頃~5月20日頃)と「小満」(5月21日頃~6月4日頃)、この二つの節気の期間(5月5日頃~6月4日頃)となります。
 
つまり、「初夏」は夏の初めをいい、「立夏」は夏の始まりをいいます。また、初夏は立夏と小満の期間なので、立夏に入る日=初夏に入る日になります。
 

Q. 「初夏」と「梅雨」はどちらが先ですか?

初夏のあとに梅雨? 梅雨のあとに初夏?

初夏のあとに梅雨? 梅雨のあとに初夏?

【質問】
「初夏」と「梅雨」って、どちらが先にくるんでしょうか?

【回答】
初夏が先で、梅雨があとです。
 
前述したように「初夏」は、体感する夏の初めとして使うこともありますが、二十四節気の「立夏」(5月5日頃~5月20日頃)と「小満」(5月21日頃~6月4日頃)の期間をさします。
 
梅雨入りは地方によって異なりますが、最も早い沖縄地方の梅雨入りの平年値は5月10日頃、関東甲信地方の梅雨入りの平年値は6月7日頃で、そこから梅雨明けするまで1カ月余りかかります。たとえ沖縄地方で平年値よりも早く梅雨入りしたとしても、春から梅雨になるのではなく、初夏を体感した後で梅雨を迎えます。
 
ですから、どの地方においても、爽やかな初夏を経て梅雨を迎えます。

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