名古屋の観光・旅行

コロナ禍で売上激減、廃業寸前のピンチからなぜ?「元祖 鯱もなか本店」が奇跡のV字回復を果たしたワケ

元祖 鯱もなか本店は創業110余年の名古屋の老舗和菓子店。多彩なコラボ商品を発売し、SNSのフォロワー数5万人超の話題の人気店だ。しかし、ほんの数年前は“廃業寸前”の状態だった。どうやって奇跡的なV字回復を果たしたのか? なぜ今、こんなに愛されているのか? その秘密を探る。

大竹 敏之

執筆者:大竹 敏之

名古屋ガイド

名古屋のシンボル、金のしゃちほこをモチーフにした「元祖 鯱もなか」。10個入り1900円(税込、以下同)。本店でのみバラ売りもあり1個170円

名古屋のシンボル、金のしゃちほこをモチーフにした「元祖 鯱もなか」。10個入り1900円(税込、以下同)。本店でのみバラ売りもあり1個170円

「愛知県の人気の和菓子」として、老舗でありながら今が旬の「元祖 鯱もなか本店」(名古屋市中区)。地元アイドルやJリーグ、映画などとのコラボ商品も次々に発売。2024年にはなんとアイドルグループ、ももいろクローバーZとのコラボも! ニューアルバム発売記念として、全国ご当地菓子5品とのパッケージコラボのひとつに選ばれました。さらにXのフォロワー数は5万人超。常に話題を振りまき、多くのファンを獲得しています。
 
そんな「元祖 鯱もなか本店」ですが、実はほんの4年ほど前は“廃業寸前”の状態でした。後継者はおらずコロナ禍で売上は激減。100年以上続いたのれんを下ろすのも時間の問題だったのです。

ところが、そこから奇跡のV字回復を果たします。売上はどん底だった時期から実に10倍増! 一体どんな方法でピンチを乗り越え、業績を飛躍的にアップさせたのでしょうか? そして、なぜ今こんなに多くの人に愛されているのでしょうか?
 

歴史がある割に地元では“知る人ぞ知る”存在だった

大正時代の店舗。当時の店名は「ますや菓子舗」。鯱もなかの大ヒットにあやかり大正10年に「元祖 鯱もなか本店」に名称変更した

大正時代の店舗。当時の店名は「ますや菓子舗」。鯱もなかの大ヒットにあやかり大正10年に「元祖 鯱もなか本店」に名称変更した

「元祖 鯱もなか本店」は1907(明治40)年創業。1921(大正10)年に鯱もなかを売り出すと、たちまち人気の名古屋土産に。戦前までは、青柳ういろう、納屋橋饅頭(現在は販売休止)と並んで名古屋土産御三家に数えられる定番でした

しかし、名古屋城や名古屋駅などの売店への卸売りに特化していたため、買い求める人のほとんどが観光客。そのため、歴史がある割に地元では知る人ぞ知る存在でもありました。

この販売戦略が、コロナショックの影響をより深刻なものにします。お出かけができない世の中になり、お土産需要がほぼゼロになってしまったからです。

>次ページ:しかし、4代目の思いと戦略が“起死回生の一手”となる
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます